第19 回 卒業制作展 学生インタビュー(3)
「ニューゲージ」
山﨑妃毬さん(アート表現コース)
「ニューゲージ」
山﨑妃毬さん(アート表現コース)
常葉大学造形学部では、2023年1月27日(金曜日)~29日(日曜日)の日程で、第19回卒業制作展を開催いたします。卒業制作展へ向け、毎日作品と向き合っている4年生に卒業制作に関するインタビューを行い、連載記事として掲載することとなりました。
インタビューを受けて下さったのはアート表現コースの山﨑妃毬さん。山﨑さんが制作した「ニューゲージ」と言うタイトルの焼き物3点は、実際には考えられない箇所にピアッシングがされた人体彫刻です。ピアッシングに着目したきっかけや、この制作に至った経緯、見てくれる人に伝えたいこと、大学生活四年間を通して卒業制作にどのように活かされたのかを伺いました。
インタビューを受けて下さったのはアート表現コースの山﨑妃毬さん。山﨑さんが制作した「ニューゲージ」と言うタイトルの焼き物3点は、実際には考えられない箇所にピアッシングがされた人体彫刻です。ピアッシングに着目したきっかけや、この制作に至った経緯、見てくれる人に伝えたいこと、大学生活四年間を通して卒業制作にどのように活かされたのかを伺いました。
人の見た目を変える人体改造、一番身近な人体改造であるピアッシングを用いる
インタビューに優しく丁寧に答えてくれている山﨑妃毬さんと三つの内の一つの舌の作品
「現代を生きる自分が表現できる人体彫刻は何なのかという風に考えるようになって…」
山﨑さんは大学入学前から人体に興味があり、人の体を立体で表現することが好きでした。制作の中で様々な素材に出会う内に陶芸に魅かれていき、卒業制作で用いることを決めました。陶芸について学んで行く中で、縄文時代に歴史をさかのぼって調べると人体を象った土偶や埴輪が目に映りました。時代を経て、自分は同じ「人体」というテーマで何を表現できるのかを考えるようになったそうです。
「ピアッシングが自分の中で一番身近というか、色々ある身体改造の中で自分が一番手軽にできるというか、自分にできる身体改造がピアッシングだった」
タイトルの中にある「ゲージ」という言葉はピアスの穴の太さの単位を表しています。タイトルのように、ピアスを装着するために体に穴を開けるピアッシングによって変形した体の一部を表現しようとした山﨑さんは、作品を通して新しい肉体美を形にしたいと考えました。ピアスというものは、山﨑さん自身にとっても身近で、一人でできる身体改造であるため作品に用いたと言います。さらに、実際よりも大きく表現された人間の体の一部を、見る人にじっくり観察してもらうことで、普段見慣れない自身の持つ体についてどんな形だったかな?と考える機会にしてもらうことが狙いであったと語ってくれました。
山﨑さんは大学入学前から人体に興味があり、人の体を立体で表現することが好きでした。制作の中で様々な素材に出会う内に陶芸に魅かれていき、卒業制作で用いることを決めました。陶芸について学んで行く中で、縄文時代に歴史をさかのぼって調べると人体を象った土偶や埴輪が目に映りました。時代を経て、自分は同じ「人体」というテーマで何を表現できるのかを考えるようになったそうです。
「ピアッシングが自分の中で一番身近というか、色々ある身体改造の中で自分が一番手軽にできるというか、自分にできる身体改造がピアッシングだった」
タイトルの中にある「ゲージ」という言葉はピアスの穴の太さの単位を表しています。タイトルのように、ピアスを装着するために体に穴を開けるピアッシングによって変形した体の一部を表現しようとした山﨑さんは、作品を通して新しい肉体美を形にしたいと考えました。ピアスというものは、山﨑さん自身にとっても身近で、一人でできる身体改造であるため作品に用いたと言います。さらに、実際よりも大きく表現された人間の体の一部を、見る人にじっくり観察してもらうことで、普段見慣れない自身の持つ体についてどんな形だったかな?と考える機会にしてもらうことが狙いであったと語ってくれました。
日本社会における自己表現の不自由さ
「日本に住んでいて、日本って特にその見た目とかそう言ったものがかなり厳しいのかなって思って…」
山﨑さんは日本の考え方として見た目で自分の価値が決めつけられてしまうことに息苦しく感じるといいます。
山﨑さんは日本の考え方として見た目で自分の価値が決めつけられてしまうことに息苦しく感じるといいます。
痩せすぎていても太りすぎていても、ピアスやタトゥーを身に着けていても、日本では良い印象を与えることは少ないでしょう。身体改造する行為は親から貰った体を傷つけて良くないという風潮が日本には染みついているように感じるといいます。まわりの見た目と少しでも異なれば風紀を乱すものとして嫌悪されてしまいます。
三点の焼き物
培った技術を用いて形に残したいこと、個人が自由に存在することを表現する
展示される作品たち
「何か……伝えたいよりかは、こういう新しい肉体美がありますよっていうことを形に残して提示したい、提案したいって感じですかね。やっぱり「ピアス……気持ち悪い……」って思ったり、「痛そう……」って思ったりするのは人の自由なので、何か伝えたいってよりかは、こういった形に残したいっていう思いですね」
日本人は身体を変える自己表現がしにくく、ピアスやタトゥーは日本の社会の目から見るとまだまだ厳しいように感じます。ピアスやタトゥーの持つ印象をどう思うかは人の自由であるため、批判的な意見を否定するわけではありません。こういった考えがある中で、山﨑さんはピアスやタトゥーによる身体改造のされた肉体美を大学で学んできた陶芸で表現し、形で提案していきたいと話してくれました。そして、人それぞれがもっと自由に存在できるようになってほしいという思いを語ってくれました。
日本人は身体を変える自己表現がしにくく、ピアスやタトゥーは日本の社会の目から見るとまだまだ厳しいように感じます。ピアスやタトゥーの持つ印象をどう思うかは人の自由であるため、批判的な意見を否定するわけではありません。こういった考えがある中で、山﨑さんはピアスやタトゥーによる身体改造のされた肉体美を大学で学んできた陶芸で表現し、形で提案していきたいと話してくれました。そして、人それぞれがもっと自由に存在できるようになってほしいという思いを語ってくれました。
卒業制作はこれからの第一歩
指導教員である磯﨑先生に山﨑さんはどんな学生かを聞いたところ、これからもアート系の仕事にたずさわりながら作家としても制作を続けていきたいと語るほど、作品制作に執着心と熱意を持っていると聞きました。大学四年間で培った形や色彩の構成力で、自分の考えを作品に注ぎ込めるところが山﨑さんの芯を感じさせる点だと語ってくださいました。
山﨑さんの大学で培った技術や自己表現の思いなど、たくさんの想いが詰まった卒業制作だと感じました。山﨑さん、磯﨑先生、貴重なお話をありがとうございました!!
山﨑さんの大学で培った技術や自己表現の思いなど、たくさんの想いが詰まった卒業制作だと感じました。山﨑さん、磯﨑先生、貴重なお話をありがとうございました!!