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減災への提言/池田浩敬教授

静岡新聞の記事「いのち守る 防災しずおか」に、社会環境学部長の池田浩敬教授のコメントが掲載されました。
以下静岡新聞の記事です。


内閣府が5月28日に公表した南海トラフ巨大地震対策の最終報告は、対策の基本的方向の中で、「外力のレベルに応じた対策の確立」として「津波対策は、海岸保全施設等はレベル1の津波を対象とし、レベル2の津波には『命を守る』ことを目標として、避難を軸に、情報伝達、避難施設、避難路、土地利用等のハード対策とソフト対策を組み合わせた総合的な対策を推進する必要がある」とうたっている。
ただ、これはあくまでハード整備がある程度完成した時点をイメージし、「ハードとソフトの組み合わせ」と言っているように読み取れる。実際には、この報告書にもあるように「超広域にわたる被害への対応」が求められるため、ハード整備は一朝一夕には進まず、長い期間を要することが想定される。
しかも、その初期段階においては、現状ではハード整備がほとんど進ちょくしていない状態で、それをどうソフトで補うかを考えなければならない。
例えば、防潮堤、避難施設や避難路が一部しかできていない状態では、どのように避難するのが最適なのか、ハードが徐々に整備されていく過程の中で、その時々において最適なソフト対策を組み合わせていくという考え方が必要である。
ともすると、まちの完成予想図でソフト対策も議論してしまいがちであるが、途中段階、ハードが不完全な状態での時限的なソフト対策を細かく考えていく必要がある。例えば、土地利用規制などもまちの最終形を見越して最初に1通りの案を決めて終わりではなく、ハード整備の状態に合わせて、段階ごとに変化させて行くことも必要である。
10年、20年かけて安全なまちをつくって行くとは、そういうことではないだろうか。
(2013年6月22日 静岡新聞掲載)