本学保育学部の稲葉光彦教授の記事が、富士ニュースに掲載されました。
以下、3月6日(木曜日)発行の富士ニュースの記事です。
以下、3月6日(木曜日)発行の富士ニュースの記事です。
地域包括ケアシステム構築を
常葉大学副学長で保育学部長の稲葉光彦教授は5日、平成21年から約5年にわたって調査・研究した「地域包括ケアシステムの構築に関する一考察」について発表した。全国12ヶ所で聞き取り調査などをした中でも、特に先進的事例として富士宮市と滋賀県東近江圏域の取り組みを挙げ、システム構築の重要性や課題について説いた。
地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で医療と看護をはじめとした介護・生活支援などさまざまなサービスを365日、24時間必要な時に一体的、継続的に受けられる体制の提案。
高齢者の1人暮らし・単独世帯の増加や急激な少子高齢化が進む中、これまでは要介護者の高齢者が病気で入院しても症状が回復すると、次は入所する介護施設を探す必要があった。
医療と介護サービスには一体性がなく、それぞれの対応をしなくてはならない高齢者や家族にとって大きな負担となるため、早急な同システムの構築が求められているという。
「県下でも素早い対応を進めている」という富士宮市では、医療や介護をはじめとした生活支援サービスを包括的、継続的に提供できるような体制づくりに向け、同システムの中心的役割を担う地域包括支援センターの機能強化などの対策が進められている。
同市には、市役所1階にある地域包括支援センターのほかにも地域の相談窓口として市内8カ所にブランチとなる地域型支援センターがあり、ネットワークを構築している。
そうした中で、ネットワーク構築の方法論などを探るために専門職や民生委員による「地域ケア会議」を設置。
の5つの機能が連携し、個別支援から政策提言までつながるように活用されているという。
滋賀県の近江八幡市、東近江市、日野町、竜王町の2市2町で構成する東近江圏域では、平成19年から毎月1回、圏域内の医療、介護、公共機関の関係者が一堂に会し「顔の見える関係づくり」を推進しているほか、20年に総合的医療福祉の姿を検討、議論するための医療、介護、行政関係者、市民による「地域から医療福祉を考える東近江の懇話会」を設置した。
そうした取り組みの中で考案された「福祉モール構想」を基に25年「あいとうふくしモール」を開設した。高齢者介護、障害者雇用、食にかんする3施設を1カ所で運営しデイサービスや訪問介護ステーション、障害者の作業所やコミュニティカフェなど、地域住民のニーズに応じたサービスを一体で提供。
「各地区のモデルケースとなる施設。高齢者の閉じこもりや孤立を避けるためにきめ細かい対策ができていると実感した」という。
一方で、平成23年に可決された「介護サービスの基盤強化のための介護保険等の一部を改正する法律」を踏まえ、システム構築におけるいくつかの課題点を指摘する。
などだ。
その上で、「システムは多くの地域住民参加によるまちづくりとしての側面もあり、地域全体をどのように再生していくのか役割も担っている」と説明。
「今後少子化と超高齢化社会が進み、多くの自治体が危機的財政状況となる中で、インフラを維持、整備していく費用は重くのしかかっている。システム構築のためにも、システムに欠かせない施設や機能が一定の地域に集約されたまちづくり、コンパクトシティ化が考えられてくる」と説いた。
考察についてのまとめは、同大学と他大学の研究論文集に掲載するほか、今後行政への提言も行っていきたい考えという。
(富士ニュース 2014年3月6日 掲載)
地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で医療と看護をはじめとした介護・生活支援などさまざまなサービスを365日、24時間必要な時に一体的、継続的に受けられる体制の提案。
高齢者の1人暮らし・単独世帯の増加や急激な少子高齢化が進む中、これまでは要介護者の高齢者が病気で入院しても症状が回復すると、次は入所する介護施設を探す必要があった。
医療と介護サービスには一体性がなく、それぞれの対応をしなくてはならない高齢者や家族にとって大きな負担となるため、早急な同システムの構築が求められているという。
「県下でも素早い対応を進めている」という富士宮市では、医療や介護をはじめとした生活支援サービスを包括的、継続的に提供できるような体制づくりに向け、同システムの中心的役割を担う地域包括支援センターの機能強化などの対策が進められている。
同市には、市役所1階にある地域包括支援センターのほかにも地域の相談窓口として市内8カ所にブランチとなる地域型支援センターがあり、ネットワークを構築している。
そうした中で、ネットワーク構築の方法論などを探るために専門職や民生委員による「地域ケア会議」を設置。
- 個別課題解決
- ネットワーク建築
- 地域課題発見
- 地域づくり・資源開発
- 政策形成
の5つの機能が連携し、個別支援から政策提言までつながるように活用されているという。
滋賀県の近江八幡市、東近江市、日野町、竜王町の2市2町で構成する東近江圏域では、平成19年から毎月1回、圏域内の医療、介護、公共機関の関係者が一堂に会し「顔の見える関係づくり」を推進しているほか、20年に総合的医療福祉の姿を検討、議論するための医療、介護、行政関係者、市民による「地域から医療福祉を考える東近江の懇話会」を設置した。
そうした取り組みの中で考案された「福祉モール構想」を基に25年「あいとうふくしモール」を開設した。高齢者介護、障害者雇用、食にかんする3施設を1カ所で運営しデイサービスや訪問介護ステーション、障害者の作業所やコミュニティカフェなど、地域住民のニーズに応じたサービスを一体で提供。
「各地区のモデルケースとなる施設。高齢者の閉じこもりや孤立を避けるためにきめ細かい対策ができていると実感した」という。
一方で、平成23年に可決された「介護サービスの基盤強化のための介護保険等の一部を改正する法律」を踏まえ、システム構築におけるいくつかの課題点を指摘する。
- 今後増大する医療費、介護保険給付費の給付抑制を念頭にした組み立てではなく、高齢者のケアなどの保証の立場を第一にした体制づくり
- 市町村での財源措置と公的機関の連携
- 地域包括支援センター職員の資質向上と人員確保
- 地域の潜在的ニーズと地域資源の把握
などだ。
その上で、「システムは多くの地域住民参加によるまちづくりとしての側面もあり、地域全体をどのように再生していくのか役割も担っている」と説明。
「今後少子化と超高齢化社会が進み、多くの自治体が危機的財政状況となる中で、インフラを維持、整備していく費用は重くのしかかっている。システム構築のためにも、システムに欠かせない施設や機能が一定の地域に集約されたまちづくり、コンパクトシティ化が考えられてくる」と説いた。
考察についてのまとめは、同大学と他大学の研究論文集に掲載するほか、今後行政への提言も行っていきたい考えという。
(富士ニュース 2014年3月6日 掲載)
関連リンク
-
- 稲葉光彦教授についての情報はこちら