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「私の先生」(中日新聞)に掲載されました/田中誠一副学長

本学副学長の田中誠一教授の記事が、中日新聞に掲載されました。
以下、中日新聞の「私の先生」の記事です。

「私の先生」教え子の人格 大切に

人生の大半をスポーツ医科学に費やしてきた。恩師は誰かと問われれば、必然的に、スポーツのことを好きにしてくれた川生邦夫先生になるかな。
川生先生は、私が通った東京立正中学、高校の体育の先生でした。空襲後でも、鉄筋コンクリートの校舎は残っていましたが、体育館やプールはなかったため、陸上競技を教わりました。
短距離から長距離。砲丸投げ、走り幅跳びなど何でもやらされました。当時は食べるものが少なく、誰もが腹が減って仕方がない時代。腹ぺこなんだけど、とにかくおもしろかった。少ししか速くなっていないのに「記録取ってみるか」とはやし立て、タイムを計ったり、跳躍距離を測ったり。とにかくおだて上手。記録を伸ばし、挑戦する楽しさを教わりました。
当時の授業が、私の指導者としてのベースとなっています。走る、跳ぶ、投げるの運動の基礎を身に付けたことのよって、スポーツ医科学の中で飯を食えているのは間違いない。
教わった中で、最も重要なことは、指導者は「この先生に出会えてよかったな」と思われるようでなければいけないということ。それは、教え子の人格を大切にすることです。最近、体罰が世間で問題になっていますが、川生先生は全くなかった。鉄拳制裁も言葉の暴力も。その精神は、私の指導法に受け継がれています。
振り返れば、川生先生は、私がスポーツ指導者になるのではないかと考えていたと思う。しきりに「勉強しろよ」と言われたのを覚えています。今の私があるのは、ひとえに川生先生のおかげです。
(2014年5月 中日新聞掲載)