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本学・経営情報システム研究所の研究会が開催されました

本学・経営情報システム研究所の研究会が、9月5日(金曜日)に摂南大学で開催されました。

<研究会の概要>
今回は第2回の研究会で、ブランド選択と行列構造について新たに理論構築がなされ、自動車業界事例でアンケート調査・分析がなされたものと、J-REITの投資口価格の予測精度向上について研究がなされ、データで分析・考察がなされたもの2件の発表がありました。興味深い結果が得られています。概要は下記の通りです。

1.13:40–15:00 「ブランド選択と行列構造-自動車業界での応用-」                        摂南大学 経営学部 准教授 樋口 友紀

ブランド品を購入する際、初めは手頃な価格の商品を購入するものの、情報を得たりするうちに、その次に購入するものはより良い、名前の通った高価なものであるということが予想される。そこで、上位ブランドをベクトルの上位から並べ、前回購入を入力、今回購入を出力としたとき、ブランド遷移行列は上三角行列となることが想定される。また、同じブランドグループに属する製品をブロックマトリックスを用いてグループ化することで、膨大なデータもより簡単に分析することが可能となる。
上記仮説をもとに、本研究では数値例にてこれらの関係が鮮明に出ると考えられる自動車業界等の事例についてアンケート調査・分析によるデータを用いてブランド選択が上方シフトする場合の行列構造のあり方を検証しており、ほぼ仮説通りの結果を得ることに成功している。
上記行列構造の解析と法則化により、新ブランド品の市場投入のタイミングや、ブランド品のポジショニングを明確にすることが可能となる。また、それを購買予測等に用いることもできる。本手法はマーケティングや販売戦略において有効な手段となり得るであろう。

2.15:10-16:30 「J-REITの投資口価格の予測に関する研究」                            大阪国際大学 ビジネス学部 教授 石井 康夫

「大胆な金融緩和」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」という3本の矢で我が国の経済再生を目指す『アベノミクス』効果により、J-REIT市場は、2007年5月に付けたリーマンショック前の時価総額6兆8千億円を超え、現在では8兆1千億円を突破し、過去最高の値を示している。また、代表的な指標である東証REIT指数は2014年5月16日には年初来高値をつけるなど堅調に推移している。この背景には、地価の上昇に加え、都心の平均オフィス空室率の低下や平均賃料上昇など、不動産市況取り巻く環境の改善があげられる。さらに、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のJ-REITへの投資や、年初からのNISA(少額投資非課税制度)が開始されたことなどがJ-REIT市況を下支えしている。更に、今後は東京オリンピックによる不動産部門の投資が加速化されることもあり、J-REIT市況を取り巻く環境は今後とも堅調に推移するものと考えられる。
以上のような経済社会環境状況を踏まえ、講演者らはJ-REITの今後の投資口価格の予測を精度よく行うための研究を実施してきた。すなわち、通常用いられる時系列モデルを改良し、精度よく投資口価格を予測するための手法を開発し、多くの事例でその有効性を検証している。
講演では、これらの取り組みが分かり易く説明され、モデルの適用可能性と精度向上に関して、実際のデータを用いて実証的に考察がなされた。
講演者は、実際J-REITの運用会社で監査役として事業全体を見てきた経験を踏まえ、運用会社のPO(Public Offering:公募)や投資法人債発行等の重要な経営意思決定に資するため、このような予測モデルの必要性を痛感されていたという。本講演で、企業における各種の予測分野において有用な情報の提供がなされた。なお、J-REITとは下記のような経緯で制定された金融商品であり、地方銀行等の企業や個人投資家等からも多くの支持を集めている。

J-REITとは日本版不動産投資信託(Japan Real Estate Investment Trust)の略称で、2000年改正施行の「投資信託および投資法人に関する法律(投信法)」により、不動産投資信託の組成が可能となったものである。これは、従来流動性に欠けていた不動産市場に機関投資家や個人投資家の資金を呼び込む目的で制度化されたものである。J-REITの仕組みは、投資家から集めた資金を基に複数の賃貸不動産を購入し、賃料収入から法人税が課税される前の利益のほぼ全額(9割以上)を分配金として配当するものである。このため、通常の株式投資と比較して相対的に高い利回り(2014年6月2日時点で平均分配金約3.6%)を確保できる金融商品として注目を集めている。