長期化する外出自粛から生じる体力低下を防ぐ ~階段のススメ~
1.“やや強度を高めた日常生活の実践“には、”階段“がお勧めです。
〇 階段は、昇り4.0METs、降り3.5METsの運動強度をもった生活活動です。
〇 階段の昇り降りは、転倒予防(バランス向上、敏捷性向上)に役立ちます。
2.生活不活発病とは
日常でからだを動かす頻度や量が減少することで起こる身体機能の低下を「生活不活発病」と呼びます。仮に1週間安静にすると回復するまでに2週間を要するともいわれます。昨今の新型コロナウイルス感染対策として長期化する外出自粛から懸念される身体問題の1つです。特に高齢期では、加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下することで身体能力が低下しやすく(サルコペニアといいます)、歩行や移動能力の低下を引き起こしやすくなっていますので、これに生活不活発病が加わることで、より一層の低下を招きます。
3.“やや高い強度”の身体活動
厚生労働省(身体活動基準2013)は、身体活動の低下を防ぐためには、①強度を問わず身体活動を40分行いこと、②3METs以上の身体活動を行うこと、を推奨しています。ここでいうMETsとは、「からだを安静にしている時の何倍の強度か」を示す単位です。勿論、運動を取り入れることも効果的ですが、表1にように、普段の日常生活でも3METsに相当する活動があります。これら日常にある“やや高い強度”の身体活動を取り入れた日常を過ごすことも、生活不活発病の予防に効果的です。
〇 階段は、昇り4.0METs、降り3.5METsの運動強度をもった生活活動です。
〇 階段の昇り降りは、転倒予防(バランス向上、敏捷性向上)に役立ちます。
2.生活不活発病とは
日常でからだを動かす頻度や量が減少することで起こる身体機能の低下を「生活不活発病」と呼びます。仮に1週間安静にすると回復するまでに2週間を要するともいわれます。昨今の新型コロナウイルス感染対策として長期化する外出自粛から懸念される身体問題の1つです。特に高齢期では、加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下することで身体能力が低下しやすく(サルコペニアといいます)、歩行や移動能力の低下を引き起こしやすくなっていますので、これに生活不活発病が加わることで、より一層の低下を招きます。
3.“やや高い強度”の身体活動
厚生労働省(身体活動基準2013)は、身体活動の低下を防ぐためには、①強度を問わず身体活動を40分行いこと、②3METs以上の身体活動を行うこと、を推奨しています。ここでいうMETsとは、「からだを安静にしている時の何倍の強度か」を示す単位です。勿論、運動を取り入れることも効果的ですが、表1にように、普段の日常生活でも3METsに相当する活動があります。これら日常にある“やや高い強度”の身体活動を取り入れた日常を過ごすことも、生活不活発病の予防に効果的です。
4.階段昇降が転倒を防ぐ
階段は、“やや高い強度”の身体活動の1つですが、身体機能への様々な効果も確認されていますので、その一部を紹介します。
①階段の昇り降りは、立位や歩行時のバランスが良くなる(図1)
図1は、「階段昇降」と「片足立ち」を行っている時の重心の揺れ方(幅と方向)を比べたものですが、いずれも左右方向へ重心が揺れるという特徴が似ていることから、階段の昇り降りを行うことでバランスが良くなることが期待できます。
②敏捷性が高まり、瞬時の反応が良くなる(図2)
敏捷性(びんしょうせい)とは、ある刺激に対して身体を素早く動かす能力とされ、歩いている際の足元のつまずきから転倒を防ぐための踏み出し反応や、転倒回避能力に関与することが報告されています。図2は、10-Step-Testと膝周囲筋の関係を表した実験結果です。10-Step-Testは、高さ10cmの段差を左右の足で交互に昇り降りを10回行った際の所要時間を示します。つまり、所要時間が短いほうが、より優れた敏捷性を表す指標です。結果のとおり、膝を伸ばす筋力と曲げる筋力が高いほうが敏捷性は優れていることがわかります。普段の日常で階段の昇り降りを行うことで足腰の筋力低下を防ぐことは、敏捷性を高め、さらに転倒から身体を守る能力を高めることが期待できます。
階段は、“やや高い強度”の身体活動の1つですが、身体機能への様々な効果も確認されていますので、その一部を紹介します。
①階段の昇り降りは、立位や歩行時のバランスが良くなる(図1)
図1は、「階段昇降」と「片足立ち」を行っている時の重心の揺れ方(幅と方向)を比べたものですが、いずれも左右方向へ重心が揺れるという特徴が似ていることから、階段の昇り降りを行うことでバランスが良くなることが期待できます。
②敏捷性が高まり、瞬時の反応が良くなる(図2)
敏捷性(びんしょうせい)とは、ある刺激に対して身体を素早く動かす能力とされ、歩いている際の足元のつまずきから転倒を防ぐための踏み出し反応や、転倒回避能力に関与することが報告されています。図2は、10-Step-Testと膝周囲筋の関係を表した実験結果です。10-Step-Testは、高さ10cmの段差を左右の足で交互に昇り降りを10回行った際の所要時間を示します。つまり、所要時間が短いほうが、より優れた敏捷性を表す指標です。結果のとおり、膝を伸ばす筋力と曲げる筋力が高いほうが敏捷性は優れていることがわかります。普段の日常で階段の昇り降りを行うことで足腰の筋力低下を防ぐことは、敏捷性を高め、さらに転倒から身体を守る能力を高めることが期待できます。
5.最後に
今回は、外出自粛による生活不活発病に着目し、日々の日常に“やや高い強度”の身体活動を取り入れることの大切さと、その1つである階段の勧めについて紹介しました。生活様式を急に変えることは容易ではありませんが、そのきっかけは身近にあるものかも知れません。社会を守るため、大切な人を守るため、そして自身を守るための答えは1つとは限りません。皆様と共に考え、行動を起こし、様々な情報発信をして参ります。
今回は、外出自粛による生活不活発病に着目し、日々の日常に“やや高い強度”の身体活動を取り入れることの大切さと、その1つである階段の勧めについて紹介しました。生活様式を急に変えることは容易ではありませんが、そのきっかけは身近にあるものかも知れません。社会を守るため、大切な人を守るため、そして自身を守るための答えは1つとは限りません。皆様と共に考え、行動を起こし、様々な情報発信をして参ります。
執筆者 内田全城
副地域貢献センター長・健康科学部静岡理学療法学科 准教授
(専門は生活環境支援系理学療法学)
副地域貢献センター長・健康科学部静岡理学療法学科 准教授
(専門は生活環境支援系理学療法学)