絵本のすすめ ~こどもと大人の幸せな時間~
「新しい生活様式」が示され、ソーシャルディスタンスという言葉がすっかり日常の中に入り込んできました。新型コロナウィルスの感染拡大防止にはマスクの着用や、外出の自粛の推奨は必要なことでしょう。学校が園の休校・休園・登園の自粛要請等が解除となりましたが、集団において距離を保つことはまだしばらく続きそうです。しかし、子どもたちが育つ道筋の中で忘れてはいけない最も大切なことは、人と人との直接的なふれあいです。とはいえ帰宅後、大人も、子どももストレスがたまり、心身ともに疲れているときに子どもとふれあうことは、体力と気力が必要です。「遊んでやりたいけど疲れている。さんざんゲームやDVDを見せてきたから、これ以上は気が引ける。」そんな時、絵本は親子の強い味方です。子どもと絵本について考えてみましょう。
言葉を獲得するプロセス
人は誰でも言葉を持っています。会話の不自由な方もその内面には、やはり言葉をもっています。社会生活をしていく上で言葉のない生活は考えることはできません。人と人は言葉でつながりあっているといっても過言ではないでしょう。
では、私たち人間はどこで言葉を獲得したのでしょうか?
小学校へ行ってその学習の中で獲得したものではないことははっきりしています。人は赤ちゃんの時からすでに言葉らしき声を発しています。赤ちゃんは自分の周りにいる大人たちから、話しかけられ、子守唄を歌ってもらい、わらべうたであやしてもらううちに、その大人の愛情と共に言葉を獲得していくのです。心がこもった愛情ある言葉を聞き、獲得した言葉で思いを伝えていくことが、子どもにとっても大人にとっても大切なことです。
子どもの心を豊かに育てるために、心を込めて子守唄を歌ってやり、わらべうたで肌のふれあいを楽しみながら、うたや、唱え言葉で楽しませてやりたいものです。最近では「子守歌もわらべうたも知らないし、言葉を話さない赤ちゃんにどう話しかけたらいいかわからない」という声を耳にします。
そんな時こそ、赤ちゃんを膝に入れ、ゆっくり語り掛けるように絵本を読んであげましょう。ここ十数年の間に、赤ちゃん向けの良質な絵本が出版されるようになりました。最後までお話を聞けなくても、好きなページしか見なくても、赤ちゃんとのかけがえのない時を楽しむつもりで絵本を読んであげたいものです。
絵本は子どもが初めて出会う本、そして大人が読んであげる本
子ども時代に出会う絵本は、その後の長い読書生活の中でも一番大切な本です。幼い時に読んでもらった絵本の中に、どれくらい喜びや楽しみを見つけたかによって、本好きになるのかどうかが左右されます。
絵本は、子どもが自分で読むものではなく、大人から読んでもらうものです。また、絵本を読むという事はただ単に文字を音声に変えるという作業ではありません。絵本を読んでいるときに、大人の声と共に大人の愛情が物語と一緒に子どもの中に流れ込んでいくのです。
子どもがうれしくてうれしくてたまらない絵本、楽しくて楽しくてたまらない絵本を読んでやることは、読んでもらったその子どもにとって、うれしさと楽しみが詰まった喜びの体験となります。
絵本を通して大人と子どもの間で共有されるもの
絵本を読んでもらった経験は、大人になっても思い出せる温かなものです。大人にとって絵本を読むという行為は、ほんの数分で済む行為ですが、その時、子どもたちはおもしろくて楽しい世界、ハラハラドキドキする冒険の世界を絵本の主人公と共に経験しているのです。今まで知らなかった世界を、実際に経験したかのように物語の不思議や心の動きを感じて、現実の世界に戻ってくるのです。その時には、読んでいる大人の愛情も一緒に子どもの中に注ぎ込まれ、生きていく力を育みます。
子どもにとって絵本は、ためになるものでも役に立つものでもなく、楽しみそのものです。子育て中は夢中で気づかなかったけれども、後で振り返ってみると、子どもに絵本を読んでいる時間は大人にとっても、幸せな時間であったと気づくはずです。
子どもが必ず言う「もう一回呼んで」「もっと読んで」という言葉は、疲れているときには悪魔のささやきのように聞こえるかもしれません。「この次にして」「あとで」とついつい言いたくなるでしょう。しかし、一冊の絵本を読むのに長くてもせいぜい10分程度です。子どもにとってこの幸せな時間を「後で」と片付けてしまうのはあまりにももったいないことです。「もう一回呼んで」は「おもしろかった」「楽しかった」という最高の誉め言葉です。一冊の本を通して一緒にドキドキハラハラしたり、笑ったり、喜んだりしながら、肌の触れ合いを通して親子の触れ合いは深まっていきます。
こどもが「読んで!」という期間はとても短いものです。「新しい生活様式」の中に寝る前のひととき、絵本を楽しむ時間を取り入れてみたらいかがでしょうか?
言葉を獲得するプロセス
人は誰でも言葉を持っています。会話の不自由な方もその内面には、やはり言葉をもっています。社会生活をしていく上で言葉のない生活は考えることはできません。人と人は言葉でつながりあっているといっても過言ではないでしょう。
では、私たち人間はどこで言葉を獲得したのでしょうか?
小学校へ行ってその学習の中で獲得したものではないことははっきりしています。人は赤ちゃんの時からすでに言葉らしき声を発しています。赤ちゃんは自分の周りにいる大人たちから、話しかけられ、子守唄を歌ってもらい、わらべうたであやしてもらううちに、その大人の愛情と共に言葉を獲得していくのです。心がこもった愛情ある言葉を聞き、獲得した言葉で思いを伝えていくことが、子どもにとっても大人にとっても大切なことです。
子どもの心を豊かに育てるために、心を込めて子守唄を歌ってやり、わらべうたで肌のふれあいを楽しみながら、うたや、唱え言葉で楽しませてやりたいものです。最近では「子守歌もわらべうたも知らないし、言葉を話さない赤ちゃんにどう話しかけたらいいかわからない」という声を耳にします。
そんな時こそ、赤ちゃんを膝に入れ、ゆっくり語り掛けるように絵本を読んであげましょう。ここ十数年の間に、赤ちゃん向けの良質な絵本が出版されるようになりました。最後までお話を聞けなくても、好きなページしか見なくても、赤ちゃんとのかけがえのない時を楽しむつもりで絵本を読んであげたいものです。
絵本は子どもが初めて出会う本、そして大人が読んであげる本
子ども時代に出会う絵本は、その後の長い読書生活の中でも一番大切な本です。幼い時に読んでもらった絵本の中に、どれくらい喜びや楽しみを見つけたかによって、本好きになるのかどうかが左右されます。
絵本は、子どもが自分で読むものではなく、大人から読んでもらうものです。また、絵本を読むという事はただ単に文字を音声に変えるという作業ではありません。絵本を読んでいるときに、大人の声と共に大人の愛情が物語と一緒に子どもの中に流れ込んでいくのです。
子どもがうれしくてうれしくてたまらない絵本、楽しくて楽しくてたまらない絵本を読んでやることは、読んでもらったその子どもにとって、うれしさと楽しみが詰まった喜びの体験となります。
絵本を通して大人と子どもの間で共有されるもの
絵本を読んでもらった経験は、大人になっても思い出せる温かなものです。大人にとって絵本を読むという行為は、ほんの数分で済む行為ですが、その時、子どもたちはおもしろくて楽しい世界、ハラハラドキドキする冒険の世界を絵本の主人公と共に経験しているのです。今まで知らなかった世界を、実際に経験したかのように物語の不思議や心の動きを感じて、現実の世界に戻ってくるのです。その時には、読んでいる大人の愛情も一緒に子どもの中に注ぎ込まれ、生きていく力を育みます。
子どもにとって絵本は、ためになるものでも役に立つものでもなく、楽しみそのものです。子育て中は夢中で気づかなかったけれども、後で振り返ってみると、子どもに絵本を読んでいる時間は大人にとっても、幸せな時間であったと気づくはずです。
子どもが必ず言う「もう一回呼んで」「もっと読んで」という言葉は、疲れているときには悪魔のささやきのように聞こえるかもしれません。「この次にして」「あとで」とついつい言いたくなるでしょう。しかし、一冊の絵本を読むのに長くてもせいぜい10分程度です。子どもにとってこの幸せな時間を「後で」と片付けてしまうのはあまりにももったいないことです。「もう一回呼んで」は「おもしろかった」「楽しかった」という最高の誉め言葉です。一冊の本を通して一緒にドキドキハラハラしたり、笑ったり、喜んだりしながら、肌の触れ合いを通して親子の触れ合いは深まっていきます。
こどもが「読んで!」という期間はとても短いものです。「新しい生活様式」の中に寝る前のひととき、絵本を楽しむ時間を取り入れてみたらいかがでしょうか?
執筆者 阿部眞弓
健康プロデュース学部こども健康学科 講師
(専門は現代保育論)
健康プロデュース学部こども健康学科 講師
(専門は現代保育論)