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持続可能な新しい社会システムを構想できる人材の育成
世界はいま、さまざまな危機に直面しています。「少子高齢化」や「社会保障問題」などの社会的な危機、「地球温暖化」や「食料や資源の枯渇」などの地球環境をめぐる危機、東日本大震災でも経験した地震や津波、洪水などの自然災害の危機です。世界がネットワーク化され、ヒト・モノ・情報の高速移動が可能になった現代、これらの危機はその発生が局所的であっても瞬時に地球規模に発展するリスクをはらんでいます。21世紀は「危機の世紀」といっても過言ではありません。しかし、持続可能な社会を構築するには、単に危機からの命や暮らしの防衛といった“守り”の姿勢だけでは不十分です。危機との共生やそれを契機とした新たな社会経済政策の展開など“攻め”の姿勢が重要となります。本研究科では、守りから攻めへ発想を転換し、新たな視点から環境や防災について研究します。
目的
環境防災研究科は、自然災害や環境の急激な変化、環境問題を環境の緩慢な悪化と捉え、これらにより社会が受ける影響や被害・災害からの回復、復興経過の究明など環境と社会に関する専門的知識を持った人材を養成することを目的とする。
アドミッション・ポリシー
環境防災研究科では、環境や防災など現代社会が直面するさまざまな課題を解決していく高度な専門的知識を備えた職業人の育成を目的として、複数専門分野の教員による学際的な授業と研究指導を展開していく。そのため、アドミッションポリシーに基づき入学者の選抜において求める学生像は以下のとおりである。
- 環境問題など人間活動が自然に与える影響、安全性などに興味と関心を持ち、専門的職業人として持続的に発展可能な社会の形成、人間社会と共生できる環境の実現などに貢献した人
- 緊急の事態に対する危機管理、災害復旧復興等の行政・社会制度などに興味を持ち、専門的職業人として安全・安心な社会システムの形成に指導的役割を果たしたい人
- 専門的職業人として活動できるための豊かな教養、十分な学力とコミュニケーション能力を持ち、学び研究する姿勢と論理的で柔軟な思考能力を持つ人
カリキュラム・ポリシー
本研究科は、現代社会における、当該専門知識を備えた専門的職業人の育成を主たる目的として設置するが、専門分野における研究者を志す学生に対しては、それぞれの進む専門分野研究の基礎となる素養を与え、専門分野研究の方法を体得させた後、当該関連分野の後期大学院に進学させ、専門分野での学問的研究の深化を図る。専門的職業人の育成に当たっては、現職者等にも勉学し易い環境を準備する。
(環境及び防災を研究教育の2つの柱とする)
本研究科では環境の急激な変化によって生ずる災害と、緩慢に推移する事による環境問題に対する人間社会の対応と、安全で安心な人間社会を形成するための計画の在り方を研究教育の目標とする。教育課程の特色としては、「環境」と「防災」を独立した学問分野としてとらえるのではなく、双方の関連性を重視した分野融合的な観点から、「環境問題」と、「防災問題」を解明する能力の育成を目的とし、「環境マネジメント」及び「防災マネジメント」を研究教育の柱とする。
このため教育課程においては、環境と防災の関連性や分野融合の必要性を理解するための教育の基礎となる「共通科目」と、防災問題ならびに環境問題の各々の応用・展開科目にあたる「専門科目」に大別し、「専門科目」は防災に重点を置いた「防災系科目」と、環境に重点を置いた「環境系科目」に分類する。
「防災」においては、自然災害などの外力により人間社会にもたらす影響を、被害の態様の解明ならびに、緊急対応期から復旧・復興あるいは再生に至るまでの一連のプロセスとして理解し、災害に対応し持続可能な社会を構築していく方策を模索する。人・地域・社会の防災力を高めるために求められる緊急の事態に対する危機管理、行政・社会制度の確立の在り方について総合的に研究教育を行い、社会における防災の専門職及び防災リーダーを育成する。
「環境」においては、人間活動が広がり様々な開発行為が進むに従って、環境破壊や大規模な災害が発生し、これらが持続可能な社会の実現を阻む要因を生み出していることから、都市や地域において人間社会が地域環境と共生し、災害を引き起こさない開発のあり方、環境保全や開発技術、環境政策のあり方等についての理学、工学、社会科学と地域社会を結びつける方法を学ぶ。
(環境・防災に関する共通科目、防災に関する科目、環境に関する科目からの選択)
本研究科の学生は、「共通科目」、「防災に関する科目」、「環境に関する科目」から、それぞれの指向、進路に応じて授業を選択する。
(環境及び防災を研究教育の2つの柱とする)
本研究科では環境の急激な変化によって生ずる災害と、緩慢に推移する事による環境問題に対する人間社会の対応と、安全で安心な人間社会を形成するための計画の在り方を研究教育の目標とする。教育課程の特色としては、「環境」と「防災」を独立した学問分野としてとらえるのではなく、双方の関連性を重視した分野融合的な観点から、「環境問題」と、「防災問題」を解明する能力の育成を目的とし、「環境マネジメント」及び「防災マネジメント」を研究教育の柱とする。
このため教育課程においては、環境と防災の関連性や分野融合の必要性を理解するための教育の基礎となる「共通科目」と、防災問題ならびに環境問題の各々の応用・展開科目にあたる「専門科目」に大別し、「専門科目」は防災に重点を置いた「防災系科目」と、環境に重点を置いた「環境系科目」に分類する。
「防災」においては、自然災害などの外力により人間社会にもたらす影響を、被害の態様の解明ならびに、緊急対応期から復旧・復興あるいは再生に至るまでの一連のプロセスとして理解し、災害に対応し持続可能な社会を構築していく方策を模索する。人・地域・社会の防災力を高めるために求められる緊急の事態に対する危機管理、行政・社会制度の確立の在り方について総合的に研究教育を行い、社会における防災の専門職及び防災リーダーを育成する。
「環境」においては、人間活動が広がり様々な開発行為が進むに従って、環境破壊や大規模な災害が発生し、これらが持続可能な社会の実現を阻む要因を生み出していることから、都市や地域において人間社会が地域環境と共生し、災害を引き起こさない開発のあり方、環境保全や開発技術、環境政策のあり方等についての理学、工学、社会科学と地域社会を結びつける方法を学ぶ。
(環境・防災に関する共通科目、防災に関する科目、環境に関する科目からの選択)
本研究科の学生は、「共通科目」、「防災に関する科目」、「環境に関する科目」から、それぞれの指向、進路に応じて授業を選択する。
ディプロマ・ポリシー
環境防災研究科では、学際的総合的な研究により環境問題と防災問題の関連性を理解した上で、環境を重視した専門的知識ならびに、防災を重視した専門的知識の教育研究を行うことにより、災害と環境の変化に対して立ち向かう高度の専門的知識を備えた職業人の育成を第一の目的としている。修了時には、環境・防災問題の被災機構ならびに回復過程を総合的に解明する能力、国内外の企業・研究機関や行政組織等で専門的実務能力、環境防災問題を解決し持続可能な社会の実現に寄与することができる能力を十分に備えていることを証明することが求められる。修士課程における講義科目の履修と修士論文作成を通して、上記の目的が達成されたと判定されるときには、修士(環境防災)の学位を授与する。
カリキュラムツリー
修士論文テーマ
これまでに修士論文で取り組まれたテーマの一覧です。一部の論文の要旨を掲載しております。要旨が掲載されていない論文を含めまして出願のご検討のために論文をご覧になりたい方はikeda_h(@を挿入)sz.tokoha-u.ac.jp(研究科長 池田浩敬宛)までご相談ください。
防災分野に関するテーマ
- 宇佐美小学校作文集に基づく関東大震災における津波避難行動の分析と作文集伝承授業
- 熊本地震における地域支え合いセンターの活動実態と活動内容の変化に影響を与えた要因分析
- 静岡県西部地域の地下水温変化と浜名湖周辺の長期スロースリップとの関連性について
- 東日本大震災時の養護教諭の対応に基づく教員研修テキストの提案
- 罹災証明書取得に向けた被災者による自宅の被害記録を推進するリーフレットの開発と改善~調査に対する被災者の納得性向上と調査の効率化を目指す手法の提案~
- 津波観測情報を活用した津波避難に関する提案~富士市における想定外地域を対象にして
- 木造住宅の耐震補強促進のための地域で取り組む制度案に関する提案
- 漁村集落における低未利用地活用による津波避難安全性向上効果の評価に関する研究 −沼津市戸田地区を対象として− (PDF ファイル 6.81MB)
- 四川大震災対口支援が被災地復興に果たす役割の分析 (PDF ファイル 0.24MB)
- 緊急消防援助隊の活動計画と東日本大震災時の実働の比較 (PDF ファイル 0.2MB)
- 住宅再建における住宅応急修理制度の役割分析 -新潟県中越地震における小千谷市の事例- (PDF ファイル 0.17MB)
- 応急対応に従事する地域の防災リーダーの育成を目的とした研修カリキュラムの研究 (PDF ファイル 0.19MB)
- 2010年小山町水害事例での被災者の行政対応に対する評価と居住地に対する意識の変化等からみた課題の抽出と改善方策の提案 (PDF ファイル 1.31MB)
- 木造住宅の耐震補強促進のための地域で取り組む制度案に関する提案 (PDF ファイル 1MB)
- 中国汶川地震における農村部住宅復興に関する研究 (PDF ファイル 2.49MB)
環境分野に関するテーマ
- 介護予防サービス利用者へのポールエクササイズ介入による心身への影響
- マイクロバブルの導入が活性汚泥処理に及ぼす影響の評価
- 膜分離活性汚泥法を導入したとんどく処理浄化槽の改造に関する研究
- 製紙工場排水におけるBPSの生分解性と除去技術に関する研究
- DO制御を導入した低炭素社会型・小型浄化槽の開発に関する研究
- 人口減少時代に向けた持続性を有する生活排水処理施設整備手法に関する研究
- 富士山麓の湧水とその水質に及ぼす人間活動
教員一覧
育成したい人材像
2016年熊本地震被害把握マッピングプロジェクト
2011年3月に発生した東日本大震災は、わが国の防災体制や危機管理能力について、多くの課題を突きつけることとなりました。また、この地震にともなう原子力発電所の被災は、エネルギー需給問題や環境問題全般に対する従来の取り組みに対して、再考を迫っています。南海トラフ地震や首都直下地震などの巨大災害の切迫性が指摘されている中で、持続可能な社会を実現するためにも環境防災問題の解決策を見出すことは、喫緊の課題です。本研究科では、環境防災問題の被災機構ならびに回復過程を総合的に解明する能力を有し、国内外の研究組織や行政組織等で専門的実務能力を発揮できる、高度な知識を備えた専門的職業人の育成を第一の目的としています。
授業科目
共通科目 | ・環境防災心理学特論 ・環境防災人類学特論 ・現代危機管理論 ・国際防災協力論 ・地理情報論 など |
防災分野に関する科目
自然災害などの外力が人間社会にもたらす影響を、被害の態様の解明ならびに、緊急対応期から復旧・復興あるいは再生に至るまでの一連のプロセスとして理解し、災害に対応し持続可能な社会を構築していく方策を模索します。人・地域・社会の防災力を高めるために求められる緊急の事態に対する危機管理、行政・社会制度の確立の在り方について総合的に研究教育を行い、社会における防災の専門職および防災リーダーを育成します。
・災害対応手法論 ・地震防災論 ・防災情報論 ・防災訓練論 ・防災地質論 ・災害エスノグラフィー論 ・都市リスクマネジメント など |
環境分野に関する科目
地球システムは、人間社会、生態系、自然の相互作用の動的なバランスにより成り立ってきました。しかし、現代では、拡大する人間活動や天然資源の過剰消費による環境負荷に起因する地球システムの不可逆な破壊に直面しています。 世界的な環境の危機に対処し、持続可能社会の実現に貢献するため、私たちは、地球科学、生態学、環境化学、健康科学、分子生物学などの様々なスケールの学問領域を含む学際的な教育と研究を行っています。 このコースでは、静岡の豊かな自然環境を題材としながら、最先端の環境学と関連分野に関する知識を横断的に身に付けることができます。
・生態科学特論 ・生体機能学特論 ・環境科学特論 ・環境生理学特論 など |
TOPICS
研究成果の社会実装
静岡県防災訓練の外部評価員として参加
被災地での復興過程に関する調査を通じ、さまざまな課題が浮かび上がってきます。これらの課題を解決し、被災地の円滑な再建を支援するために必要な対策の在り方や、具体的な課題解決のための技術開発を行い、次に発生する災害被災地での支援活動に活かしています。
社会災害研究センターの詳細はこちら
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海外をフィールドにした研究活動
中央アフリカ、ケニアにおけるフィールドワーク
中央アフリカのケニアにおける半乾燥地域では、ガリーという浸食地形が広がっています(写真)。このガリーは過去20~30年の間に出現したとされていますが、いつ・どのようにしてできたのか、また現在でも浸食が進んでいるのか等、詳細は明らかではありません。現在この地域の植生は疎らで土地は荒廃し、牧畜業を主体とするMassai族の生活に影響を及ぼしています。これらを明らかにすることで、将来的な土地荒廃の可能性や、住民生活への影響を予測することにも貢献できると考えています。
中央アフリカのケニアにおける半乾燥地域では、ガリーという浸食地形が広がっています(写真)。このガリーは過去20~30年の間に出現したとされていますが、いつ・どのようにしてできたのか、また現在でも浸食が進んでいるのか等、詳細は明らかではありません。現在この地域の植生は疎らで土地は荒廃し、牧畜業を主体とするMassai族の生活に影響を及ぼしています。これらを明らかにすることで、将来的な土地荒廃の可能性や、住民生活への影響を予測することにも貢献できると考えています。
四川地震の被災地復興状況現地調査
環境防災に関わる問題は、わが国のみならず世界中の国と地域が直面している課題です。このことを踏まえ、トルコ地震(1999年)、インド洋スマトラ島沖地震(2004年)、四川地震(2008年)などを対象とした、人と社会の復興過程についての研究を進めています。また急速な経済成長を遂げるアジア諸国では、かつて日本が経験したようなさまざまな環境問題、公害問題に直面しており、これに対応した多様な研究テーマも設けています。
環境防災に関わる問題は、わが国のみならず世界中の国と地域が直面している課題です。このことを踏まえ、トルコ地震(1999年)、インド洋スマトラ島沖地震(2004年)、四川地震(2008年)などを対象とした、人と社会の復興過程についての研究を進めています。また急速な経済成長を遂げるアジア諸国では、かつて日本が経験したようなさまざまな環境問題、公害問題に直面しており、これに対応した多様な研究テーマも設けています。
環境防災の専門性を有した公務員への進路
いまわが国の行政組織では、持続可能な発展のために解決すべき環境防災問題の専門知識を有する人材が求められています。環境防災問題の被災機構ならびに回復過程を総合的に解明し、また、専門的な実務能力を養うことで公務員として社会に貢献できる人材を育成しています。