日本LD学会第22回大会で自主シンポジウムが開催されました/赤塚めぐみ助教・後藤隆章講師

10月13日(日曜日)に日本LD学会第22回大会において、自主シンポジウム「小学校低学年の読み書き困難のリスク要因に対応した学習支援の展開」が開催されました(企画者:本学保育学部 赤塚めぐみ助教、話題提供者:本学教育学部 後藤隆章講師)。
日本LD学会は、正会員数約7,600名を有する学術学会であり、LD/ADHD等の発達障害に関する研究・臨床・教育の進歩向上を図ると共に、LD等を有する児(者)に対する教育の質的向上と福祉の増進を目的として活動しています。

本大会は、10月12日(土曜日)から14日(月曜日)までの3日間、パシフィコ横浜において開催されました。
自主シンポジウムでは、東京学芸大学や鹿児島大学との共同研究の成果に基づき、小学校通常学級における低学年の読み書き学習とその支援に関する話題が提供され、フロアからの意見を交えた討論が行われました。

小学校における読み書き学習では、特に漢字の学習困難が3年生頃から顕在化しやすいと知られています。そのため、通常の学習で十分に効果の上がらない児童においては、自己肯定感の低下が懸念されます。このような問題意識から、今回の自主シンポジウムでは、東京学芸大学より、小学2年生の時点で、その後の漢字の学習困難を予測するリスク要因に関する研究成果が紹介されました。また、鹿児島大学からは、漢字の学習困難のリスク要因に対応した学習支援教材(Web無償配信)について提案されました。これらに基づき、後藤隆章教員、東京都品川区の学童クラブ指導員より、個別型および小集団型の読み書き指導の実際について話題が提供されました。指定討論では、品川区教育委員会統括指導主事より、品川区が独自に取り組んでいる学習支援システムについて紹介され、小学校低学年の段階で読み書き困難のリスク要因に対応した支援を行うことの重要性と効果について意見が述べられました。さらに、NPO法人スマイルプラネットからは、光文書院からWebで無償配信されている特別支援教材「プレ漢字プリント」の開発からNPO法人の設立に至るまでの経緯が紹介されるとともに、漢字の学習困難を予測するリスク要因を踏まえた上で、NPO法人として教科書準拠の支援教材を整備していきたいという今後の展望について述べられました。

通常学級の読み書き支援に対する関心は年々高まっており、今回の自主シンポジウムへの参加は、会場の定員を上回るほどの盛況振りでした。その前後に行われたポスター発表では、定員の都合上自主シンポジウムに参加できなかった方々も会場に集い、活発な意見交換がなされました。