日本教育新聞に掲載されました/小松郁夫教授

本学教職大学院の小松郁夫教授の記事が、日本教育新聞に掲載されました。
以下、12月1日(月曜日)の掲載記事です。

教育ウォッチ「経済への関心と教育」

衆議院が解散して、やがて総選挙が行われる。選挙といえば「マニフェスト」という言葉が使われるが、私がこの言葉に最初に出合ったのは英国の政治だった。今でも労働党のトニー・ブレア党首が「教育、教育、教育」という政策を最優先に掲げたマニフェストが手元にある。マニフェストは何を、いつまでに、どのように達成するかが含まれ、その成果検証が不可欠でもある。
今回の日本の総選挙では、もっぱら経済政策が論争の中心のようだが、それに比べて、各党ともに、教育政策はどちらかというと影が薄いように感じる。だが、経済で生産活動や消費活動を担うのは人間ではないか。非常に残念なことに、経済学者の多くは人間という重要な側面に関心が薄い。
また、教育学者も経済への関心が高いとはいえない。私が経済専門紙を読んでいると「株に投資しているんですか?」と聞かれたことがある。
教育の成果を見るときに、経済的視点が薄いと、結局は具体的な判断材料が乏しい評価活動に陥ってしまうのではないかと危惧する。
子どもには選挙権がない。それに比較して、ますます増加している高齢者は、最も投票に出掛ける世代らしい。子どもへの公的支出は経済学的には投資である。それに対し、高齢者への支出は消費あるいは老費(浪費)と言ったら言い過ぎだろうか。
(12月1日(月曜日)日本教育新聞掲載)