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人の更生に寄り添う作業療法の可能性


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国家資格として作業療法士が誕生し、半世紀以上が経ちました。今では10万人以上の作業療法士が医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で活躍をしています。最近では、刑務所にも作業療法士が配置されるようになりました。「え?刑務所に作業療法士?」と思われた方もいるかもしれません。みなさんがご存じのとおり、日本は超高齢化社会です。高齢化は刑務所のなかでも同じで、たくさんの高齢受刑者がいます。「悪いことした人に作業療法が必要なの?」という声もよく聞きます。よく考えてみてください。受刑者は罪を償うために刑に服しています。刑務所のなかでは受刑者は刑務作業と呼ばれる仕事をしていますので、身体が動かなくなったり、寝たきりになってしまったりすると刑務作業ができなくなります。刑務作業ができなくなるということは、罪にも向き合えないとことなります。高齢受刑者にもリハビリテーションを行うことは、受刑者がきちんと罪に向き合い更生を促す意味でも必要なことだと考えています。

ところで、私は保護司をしています。保護司は非行少年や刑務所を本来の刑期よりも早く出所してきた人(仮出所者)を地域のなかで見守ります。罪を犯すことはとても悪いことですが、彼らは罪を犯すなりの理由があります。虐待を受けていた経験、親からの愛情不足、貧困、孤立、障害・・・など彼らの生育歴を紐解いていくと様々な背景がみえてきます。罪そのものを反省させることも大切なのですが、彼らの境遇を理解し、人生を再構築させることが更生につながります。

作業療法士は、身体のことだけでなく、心も支えます。障害の有無は関係ありません。身体と心を支えるためには、生活を立て直したり、仕事に就けるように支援したり、趣味が持てるようにも働きかけます。「人が営む生活行為」を支えるスペシャリストが作業療法士であり、作業療法には人の更生にも役立てる素晴らしい力があると思っています。

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