私は、大学生のころに幼児や小学生へのサッカー教室を行っていました。私は幼児(6歳以下)のクラスのリーダーをすることになったのですが、年度当初は1名だった生徒数が最終的に24名まで増やすことができました。子どもたちとサッカーボールを追いかけることが純粋に楽しく、生徒数を増やせたことで、私は自身のコーチングに自信を持つようになりました。そんなある日に、ベテランコーチの方と一緒にサッカー教室をする機会がありました。私が手を焼いていたプレーヤーがいたのですが、ベテランコーチとプレーするときだけは、そのプレーヤーが目の色を変えてボールを追いかけていたのです。その姿を見て、自信を持っていた自分が恥ずかしくて、ベテランコーチのようなコーチングができないことが悔しくなりました。そこから、どのようにしたらグッドコーチになれるのかを知りたい。というのが私の研究動機です。
「ダニング=クルーガー効果」という知識・能力と自信に関する認知バイアスの関連を示したものです(図1)。これは、過去の私のように経験が浅いにも関わらず、過剰に自信を持ってしまうこと(馬鹿の山)や、一時的に自信を失ってしまうこと(絶望の大地)、ベテランコーチほど謙虚であること(継続の大地)を示しているようなものです。元サッカーフランス代表監督ロジェ・ルメールの「学ぶことをやめたら教えることをやめなければいけない」という私の好きな言葉があるのですが、コーチ自身も経験と学習を重ねることで、「無知の知」に気づくことができ、自己研鑽の重要性を理解できるようになるのだと思います。
社会的に問題視されているスポハラは、コーチの自己研鑽が行えていない場合に、問題行動となることが報告されています。自分自身がコーチとして学び続けることだけでなく、スポーツ現場のコーチの学習を支援するための研究を行っていきたいと思います。
社会的に問題視されているスポハラは、コーチの自己研鑽が行えていない場合に、問題行動となることが報告されています。自分自身がコーチとして学び続けることだけでなく、スポーツ現場のコーチの学習を支援するための研究を行っていきたいと思います。
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