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美術と関わりながら生きるということ


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私が専門とする研究分野は立体造形です。制作研究では工芸、彫刻、インスタレーションなど幅広く、横断的に研究を行っています。大学で専攻していたのは工芸の鍛金という分野です。私自身も美術作家として活動を行っています。鍛金を学んだことで、私の作品は工芸の技術の影響を受け、工芸的思考を持っています。しかし、自分の専門とする領域が工芸かというとそうでもなく、彫刻やインスタレーション、立体デザインなど、領域にとらわれない作品を制作しています。美術は1つの決まった正解があるわけではありません。既存のことにとらわれず自由であってよいのだと思います。
私が大学1年生の時、私の作品について先生からのアドバイスの中で「私はこう思うけれど、あなたはどう?」という言葉をかけられました。他者の作品や考え方を決して否定しないということ、そして教員と学生という立場を超えて、表現者の一人として対等に接してくれたことが何より嬉しく、なんて美術は面白いのだろうと思いました。
一方で私は、大学院を修了した後、美術に関わりながら生きるために、3年後5年後という近い将来の目標を立て、目の前にあるチャンスの中から、必要だと思うこと、学ぶべきこと、または面白いと思うことを選択し、時々失敗しながらも経験を積み重ねてきました。現在、私は大学教員として美術と関わりながら生きています。美術が好きという気持ちだけでは、何事も前に進むことはできません。繰り返しのような小さな努力や訓練の積み重ねによって前に進むことができるのだと思います。
私たちが生きる社会があり、あらゆる生物が生きる地球があり、地球という惑星があり、宇宙があります。この世界に興味を持つこと、自分以外の外界にも目を向け、他者を理解しようとすることが美術作品をつくること、そして社会の中で生きていくためには大切であると思います。

作品展示風景 個展「遠くの出来事と意味のない部屋」2016年

作品展示風景 個展「線のゆくえ」2014年

作品展示風景 個展「いつものこと」2013年


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