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空間創造の変化


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私の専門は建築設計です。建築設計の実務における主な仕事は、基本設計→実施設計→現場監理という流れになります。基本設計は、依頼主の要望を読み取り、土地等を調べ、そこから設計方針を考え、イメージを広げ、図面やパース、模型等を使い、最適と思われる計画案を生み出す作業。提案は納得してもらえるまで何度も繰り返し、納得してもらえたら実施設計に移ります。実施設計は、基本設計時の計画案を基に詳細を詰めていき、施工をするための図面を描いていきます。現場監理は、図面通り施工が行われているか、現場に足を運びチェックを行っていく作業になります。
造形学部では設計課題を行う授業があり、学生は主に実務でいうところの基本設計を体験していきます。その際、学生はCADやCGパースも使用した表現も学んでいきます。
私が学生の頃、図面を描くときはまだ手書きの時代、CADを使うようになったのは社会人になって2年目くらいの頃でした。手書きとCADにはいろいろな違いがありますが、私が大きく違うと感じているのは、打合せ時のやりとりです。手書きは何度も描き直したくないから、打合せを密に行い、意思疎通を図り、どうすべきかを深く考えて、それからようやく描き出したのに対して、CADは修正が容易なのでとりあえずたたき台を描いて、それを基に打ち合わせを進めていく、というように変化したように思います。これは、打合せ時のコミュニケーションが変わったということでもあります。
また、CGによる大きな変化もあるように思います。学生の様子を見ていると、イメージを膨らませるとき、パソコンのCG画面を操作しながら空間を考えている様子を目にします。私は模型を見てイメージを広げ検討し、ある程度イメージが固まったらパースに移るのですが、学生は最初から2次元表現の中で空間を考えているのです。 発想の仕方、脳の仕組みが私たち世代とそもそも違うのではないかと思う場面です。技術の進歩は、空間創造に大きな変化もたらしていますが、今後これがどう影響するのかしっかり見定めていきたいと思います。


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