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こころに関わる心理臨床の世界


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私は、児童青年期を中心としたメンタルヘルスや発達の相談、心理的課題の心理臨床に長年、携わっています。最近20余年は学生相談やスクールカウンセラーなど児童青年期の心理臨床の実践と研究を行ってきました。相談の中で多いのは対人関係に関わるものですが、高校までの学校教育現場では、発達特性、性別違和、いじめ、不登校など個人と学校の風土、社会の変化が求められる課題も多く示されます。大学ではそれらに加えて、自己同一性(自分らしさ)の確立、自己実現に向けた模索の相談が多く見られます。またこの時期には青年期に好発しやすい精神の病にも出会います。臨床心理学の領域では、このような課題について、必要に応じて心理・発達検査等も用いてアセスメントを行い、心理療法を実践していきます。

自分の将来のことを考える少しの力が蓄えられ、頑張れば手の届くような目標設定ができれば、悩む人の心の表情は動き、歩み始めるのです。そうすると、悩みはその姿を変え、多くは抱えることが楽になっていきます。大切な人との死別、重篤な病気、自然災害や犯罪被害等、自分の力ではどうにもできないような出来事の中にいる方にお会いして、臨床家として無力感に苛まれることもあります。Covid-19のパンデミック禍では、心理療法においてもオンライン面接の導入が進みましたし、また、AIの進化は臨床心理学の世界にも影響を与えていくでしょう。臨床心理学は、時代の変化に沿ってツールとしてより適切なものを選択しながら、本質的には変わることのない、ひとのこころといのちに触れ、人が自分らしく生きることを探求する学問です。

学生時代は人生の僅かな一時期の数年間であるけれど、自分の生き方を決める課題に直面する重要な時期です。大学において学生たちを見守り、ほんの少しでも心の成長のお手伝いができたらと、そのためにも教育・研究をし続けていきます。

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